祝!世界遺産・明治日本の産業革命遺産に山口県が記載登録!

 7月5日、ドイツのボンで開催された第39回ユネスコ世界遺産委員会において、日本が世界文化遺産に推薦していた「明治日本の産業革命遺産/製鉄・製鋼、造船、石炭産業」について審議が行われ、世界遺産一覧表に「記載」することが決定されました。産業革命遺産は、幕末から明治にかけ、非西欧地域で初めて近代化に成功した日本の重工業の歩みをたどるもので、薩摩、長州藩などが手がけた反射炉から官営八幡製鉄所や三池炭鉱、三菱長崎造船所に至る23資産から構成されております。
 今回は九州・山口を中心とする8県11市が共同提案し、国が昨年ユネスコに推薦した結果、決定に至りました。これで日本の世界遺産は、文化遺産と自然遺産を合わせて19件となります。 
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萩反射炉

反射炉は鉄製大砲の鋳造に必要な金属溶解炉で、萩藩の軍事力・海防強化の一環として導入が試みられました。萩反射炉は安政3年(1856)に試作的に築造したものと考えられ、高さ10.5mの煙突にあたる部分が残っています、現存する反射炉は静岡県の韮山反射炉と萩の2ヶ所だけで、産業技術史上たいへん貴重な遺跡です。

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大板山たたら製鉄遺跡

鉄の原料である砂鉄と木炭を炉に入れ、「鞴(ふいご)」を用いて鉄を作っていた江戸時代の製鉄所跡です。この炉を「たたら」と言い、宝歴期(1751~1764)、文化・文政期(1812~1822)幕末期(1855~1867)の3回操業していました。ここで作られた鉄は、幕末に萩藩が建造した洋式軍艦「丙辰丸」にも使用されました。

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恵美須ヶ鼻造船所跡

嘉永6年(1853)、幕府は各藩の軍備・海防力のの強化を目的に大船建造を解禁し、のちに萩(長州)藩に対しても大船の建造を要請し、洋式軍艦の建造を試みました。安政3年(1856)に恵美須ヶ鼻造船所を設置し、藩最初の洋式木造帆船「丙辰丸」を建造し、その後「庚申丸」を建造しました。現在も当時の規模の大きな防波堤が残っています。

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萩城下町

国の史跡に指定されている「萩城城下町」は萩城外堀の外側にあり、萩城跡、旧上級武家地、旧町人池の3つの区域で構成。町筋は碁盤目状に菊屋横町、伊勢屋横町、江戸屋横町という小路や豪商菊屋家住宅建物など、当時の景観を今に残しています。

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松下村塾

吉田松陰先生が門弟を教えた私塾。松陰先生は西洋の教育、科学、産業を取り入れた進歩的な国づくりを志していました。塾生の多くは師の志を受け継ぎ、日本が近代国家となるために力を尽くしました。日本の近代化、工業化の過程で重要な役割を担った逸材がここで学びました。